有料老人ホームへの入居を検討する際、補助金の存在は大きな助けとなり得ます。しかし、その情報は常に変化しており、最新の状況を把握することが重要です。
この記事では、入居時に利用可能な補助金に関する情報をわかりやすくまとめています。
補助金の種類や申請方法、さらには受給資格についても詳しく解説していきますので、老後を安心して迎えるための一助となるよう、必要な情報を手に入れましょう。
Contents
有料老人ホーム入所時の補助金についての全体概要
高齢者の方々が快適なセカンドライフを送るための選択肢として、有料老人ホームへの入居は大きな意味を持ちます。ただし、費用の面で不安を感じる方も少なくありません。
そこで、国や自治体が提供している補助金制度の存在が重要になります。これらの補助金は、入居者の経済的負担を軽減し、より良い生活環境を実現するために役立ちます。
補助金の種類には、入居一時金の支援、月額利用料の補助、医療費の補助などがあります。
それぞれの補助金には、受け取るための特定の条件が設けられています。例えば、所得制限がある場合、申請者の年収が基準額を下回る必要があります。また、資産状況や家族構成も審査の対象となることがあります。
高齢者の方々が有料老人ホームでの生活を心から楽しむためには、経済的な支援が不可欠です。
補助金制度を活用することで、経済的な負担を軽減し、質の高いサービスを受けられる可能性が高まります。そのためにも、利用可能な補助金の詳細を理解し、適切な手続きを踏むことが大切です。
有料老人ホーム入所時に知っておくべき補助金の種類
有料老人ホームに入居する際には、さまざまな補助金が存在します。
- 高額介護サービス費制度
- 高額療養費制度
- 高額介護合算療養費制度
- 介護保険負担限度額認定制度
- 社会福祉法人等利用者負担軽減制度
- 介護保険施設での医療費控除
などがあります。
それぞれの種類と受け取るための条件を把握することが重要です
高額介護サービス費制度について
高額介護サービス費制度は、介護保険の利用者が一定の上限額を超える自己負担をした場合に、超過分を払い戻してもらえる制度です。
この制度の主な目的は、介護サービスの利用に伴う負担を軽減することにあります。
制度の概要
- 利用者の負担額が所定の上限額を超えた場合、超過分が支給されます。
- 支給対象となるのは公的介護保険の自己負担部分(1割~3割負担の部分)です。
支給対象外の費用
- 特定福祉用具の購入や住宅改修にかかる負担
- 施設における居住費や食費
- 理美容代などの日常生活に要する実費
- 生活援助型配食サービスにかかる負担等
申請方法
- 上限額を超えると、自治体から高額介護サービス費の支給申請書が送られてきます。
- 必要事項を記入し、自治体指定の窓口に提出または郵送します。
- 一度申請すると、次回該当月からは自動的に手続きが行われます。
- 申請期限は支給対象となった介護サービスが提供された月の翌月1日から2年間です。
負担限度額
負担限度額は、個人の所得や世帯の状況に応じて異なります。例えば、所得に応じて個人の上限額が15,000円、世帯全体の上限額が24,600円などと設定されています。(令和5年12月現在の情報です)
区分 | 負担の上限額 |
---|---|
市町村民税課税~課税所得 380 万円 (年収約770 万円) 未満 |
44,400円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
前年の公的年金等収入金額 + その他の合計所得金額 80万円以下の方等 |
24,600万円(世帯) 15,000円(個人) |
生活保護を受給している方等 | 15,000円(世帯) |
区分 | 負担の上限額 |
---|---|
課税所得 690 万円 (年収約 1,160 万円) 以上 | 140,100円(世帯) |
課税所得 380 万円 (年収約770 万円)~ 課税所得 690 万円(年収約 1,160 万円) 未満 |
93,000円(世帯) |
この制度により、介護サービス利用者の経済的負担が軽減され、安心して必要なサービスを受けることが可能になります。また、申請手続きは比較的簡単であり、自治体からの通知に応じて行うことができます。
高額療養費制度について
高額療養費制度は、医療費の自己負担が一定の上限を超えた場合に、その超過分を保険者から支給される制度です。この制度の目的は、医療費による家計への負担を軽減し、すべての人が安心して医療を受けられるようにすることにあります
制度の概要
- 計算方法
- 医療機関ごとに自己負担額が計算され、医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来に分けて計算されます。医療機関で交付された処方箋に基づく薬局での調剤費用も含まれます。
- 自己負担限度額
- これは年齢や所得に応じて異なり、例えば70歳未満で所得区分によって、最低35,400円から最高252,600円+(総医療費-842,000円)×1%に設定されています。
- 世帯合算
- 世帯全体の医療費を合算して申請することも可能です。
- 申請方法
- 医療費の支払い時に申請する方法と、支払い後に申請して還付を受ける方法があります。
1ヶ月間、世帯ごと負担上限額
※令和5年12月現在の情報です適用区分 | 70歳未満の場合 | 70歳以上の場合 |
---|---|---|
年収1,160万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% (多数回該当140,100円) |
252,600円+(医療費-842,000円)×1% (多数回該当:140,100円) |
年収770~1,160万円未満 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% (多数回該当:93,000円) |
167,400円+(医療費-558,000円)×1% (多数回該当:93,000円) |
年収370〜770万円未満 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% (多数回該当:44,400円) |
80,100円+(医療費-267,000円)×1% (多数回該当:44,400円) |
年収156〜370万円 | ・57,600円(多数回該当44,400円) ・個人ごと外来18,000円 (年間上限144,000円) |
・57,600円(多数回該当44,400円) |
住民税非課税者 | 24,600円 ※個人ごと外来8,000円 |
35,400円 (多数回該当24,600円) |
住民税非課税者 | 15,000円 ※個人ごと外来8,000円 |
35,400円 (多数回該当24,600円) |
注意点
- 高額療養費制度は、公的医療保険の対象となる医療費に限られ、保険外の負担(特別料金、先進医療の先進技術部分、自費診療など)は対象外です。
- 同じ病気であっても、入院が月をまたがる場合は、各月ごとに別々に計算されるため、月の初めから治療を開始することが一般的に推奨されます。
制度の活用
高額療養費制度は、医療費の負担を軽減するための重要な制度です。特に長期にわたる治療を必要とする場合や、治療費が高額になる可能性がある場合には、この制度を理解し活用することが重要です。
また、対象外の治療費に備えるためには、民間の医療保険やがん保険などを検討するのも一つの方法です。
高額介護合算療養費制度
高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険の自己負担額が1年間に著しく高額になった場合に、その負担を軽減するための制度です。
この制度では、医療費と介護費の自己負担額を合算し、設定された自己負担限度額を超えた分を支給されます。
対象となる費用
- 医療費
- 保険適用の治療が対象です。自由診療、先進医療、差額ベッド代、食事療養標準負担額など保険適用外の費用は対象外です。
- 介護費
- 介護保険が使えるサービスが対象です。ただし、民間老人ホームの入居費用、特定福祉用具販売、居宅介護住宅改修費支給、利用上限額を超える利用者負担分などは対象外です。
自己負担限度額
自己負担限度額は世帯収入に応じて異なります。
※令和5年12月現在、1年間の限度額適用区分 | 70歳未満の場合 | 70歳以上の場合 |
---|---|---|
年収1,160万円以上 | 212万円 | 212万円 |
年収770~1,160万円未満 | 141万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% (多数回該当:93,000円) |
年収370〜770万円未満 | 141万円 | 67万円 |
年収156〜370万円 | 56万円 | 60万円 |
住民税非課税者 | 31万円 | 34万円 |
住民税非課税者 | 19万円 | 34万円 |
申請手続き
この制度は自動適用ではなく、申請が必要です。介護保険者(市町村)に申請を行い、受理されると介護自己負担額証明書が送られてきます。これを添えて医療保険者に申請を行います。
処理には約2ヶ月かかることがあります。
支給上の留意点
- 計算結果が500円以下の場合は支給対象外となります。
- 保険者からの支給は高額介護合算療養費として行われます。
介護保険負担限度額認定制度
介護保険負担限度額認定制度は、介護保険施設で発生する居住費や食費の負担を軽減するための制度です。この制度は令和3年8月に見直しされ、所得と預貯金の要件を満たす必要があります。
※令和5年12月現在の情報です認定要件 | 令和3年7月まで | 令和3年8月~ |
---|---|---|
年金収入等 80万円以下 (第2段階) |
単身 1,000万円 夫婦 2,000万円 |
単身 650万円 夫婦 1,650万円 |
年金収入等 80万円超120万円以下 (第3段階①) |
単身 1,000万円 夫婦 2,000万円 |
単身 550万円 夫婦 1,550万円 |
年金収入等 120万円超 (第3段階②) |
単身 1,000万円 夫婦 2,000万円 |
単身 500万円 夫婦 1,500万円 |
所得の要件
- 利用者とその世帯全員が住民税非課税であることが基本条件です
- 配偶者が別世帯に属している場合でも、住民税非課税であれば要件を満たします
預貯金等の要件
預貯金の上限は、
- 配偶者がいる場合は2,000万円以下
- いない場合は1,000万円以下
負債や住宅ローンは、預貯金から差し引かれます
利用者負担段階と負担限度額
- 利用者の所得や預貯金に応じて負担限度額が定められます
- 負担段階は4段階あり所得が高いほど負担が重くなります
特例軽減措置
高齢者夫婦など特定の状況では、経済的困難を防ぐための特例軽減措置が適用される場合があります。
申請方法
必要書類としては、
- 介護保険負担限度額認定申請書
- 同意書
- 通帳・有価証券等の写し
などが必要となり、申請は各市区町村の介護保険課に提出します。
適用されるかどうか不確かな場合は、各市区町村の介護保険課に相談することをお勧めします。
社会福祉法人等利用者負担軽減制度
社会福祉法人等利用者負担軽減制度は、介護保険サービスを提供する社会福祉法人が運営する事業所等での利用者負担を軽減するための制度です。
この制度の目的は、特に生計が困難な方々が介護保険サービスを利用しやすくすることにあります。
対象者の要件
制度の対象者となるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 被保険者本人を含む世帯全員が市町村民税非課税であること
- 年間収入が、単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であること
- 預貯金等の額が、単身世帯で350万円、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下であること
- 日常生活に必要な資産以外に利用できる資産を保有していないこと。
- 負担能力のある親族等に扶養されていないこ
- 介護保険料を滞納していないこと
利用者負担額および軽減割合
- 生活保護受給者の場合、居住費や滞在費の利用者負担額の全額が軽減されます
- 生活保護受給者以外の場合、介護費、食費、居住費などの利用者負担額の25%が軽減されます
申請方法
- 軽減を受けるためには、各市町村窓口または各支所に必要書類を提出する必要があります
- 提出する書類には
- 社会福祉法人等利用者負担額軽減対象確認申請書
- 世帯全員分の預貯金等の額が分かる書類
などが含まれます。
その他の注意点
「社会福祉法人等利用者負担軽減確認証」の有効期限は、申請日から起算して最初の7月末日までとなります。引き続き軽減を受けるためには改めて申請が必要です。
この制度は、特に生計が困難な方々が介護サービスを利用しやすくなるよう支援するために設けられています。
具体的な申請方法や詳細については、お住まいの市町村の介護保険担当窓口に問い合わせる事をおすすめします。
介護保険施設での医療費控除
医療費控除の対象となるものの概要は、次の表のとおりです。
※令和5年12月現在の情報です施設名 | 医療費控除の対象 | 医療費控除の対象外 |
---|---|---|
指定介護老人福祉施設 特別養護老人ホーム 指定地域密着型介護老人福祉施設 |
施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額の2分の1に相当する金額 | ①日常生活費 ②特別なサービス費用 |
介護老人保健施設施設 | サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額 | ①日常生活費 ②特別なサービス費用 |
指定介護療養型医療施設 療養型病床群等 |
施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額 | ①日常生活費 ②特別なサービス費用 |
介護医療院 | 施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額 | ①日常生活費 ②特別なサービス費用 |
注意点
- 日常生活費は、日常に必要な美容代や施設サービスの費用で、入所者が負担する適当なものです。
- 介護老人保健施設等の特別室使用料は、治療のためなら医療費控除の対象です。
- 高額介護サービス費の払戻しがある場合、その金額は医療費控除の計算から差し引かれます。
- 特定施設の自己負担額に関しては、2分の1が差し引かれます。
補助金制度のまとめ
老人ホームへの入居を検討している方々にとって、補助金は大きな支援となります。しかし、その存在を知らずに利用機会を逃してしまうことも少なくありません。
補助金を受けるためには、まずその種類と条件を理解することが重要です。自治体によって異なる場合が多いので、居住地の市町村役場や社会福祉協議会に問い合わせることをお勧めします。
次に、申請手続きの流れを把握し、必要な書類を準備しましょう。申請書や所得証明書など、提出が求められる書類は事前にチェックしておくことが大切です。
また、補助金の申請には期限がある場合もありますので、その点も忘れずに確認してください。
最後に、補助金の利用には、他の福祉サービスとの併用が可能かどうかも検討する必要があります。例えば、介護保険サービスとの併用が認められる場合もあれば、そうでない場合もあります。
このような情報は、事前に専門家、あるいは入居を検討している老人ホームの相談員に相談することで、より適切な判断ができるようになります。
有料老人ホームへの入居時に補助金を活用することは、賢明な選択といえます。この機会を活かし、充実した老後生活を送るための一助としてください。
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